2015年10月18日

スパイバー株式会社の関山和秀社長の講演

金曜日によみうりテクノフォーラムのセミナーでスパイバー株式会社の関山和秀社長の講演を聴いてきました。知っている人は知っているかもしれませんが(うちの奧さんと長女は知っていました)、この会社は蜘蛛の糸を人工的に量産しようとしているバイオベンチャー企業です。

蜘蛛の糸は鋼鉄の4倍の強さで当然鋼鉄より軽いのだそうです。さらに、ナイロンより柔軟性が高く結構伸びるのだそうです。人工合成はタンパク質なので遺伝子を微生物に組み込んで培養で合成するとのこと。既に、ある程度の量産技術は出来ており、スポーツ用品大手のゴールドウインと一緒に製品開発を共同で行う事業提携契約を締結すると、この10月8日に発表しています。

元々慶応大学のバイオ系の研究室から出発したバイオベンチャーですが、経産省や内閣府の助成金、ベンチャーキャピタルから資金を得てラボレベルからだんだんとスケールアップを図ってきています。うまくいって工場を作るに当たっては豊田系列の部品製造会社である“小島プレス工業”を組んで工場を作ったのだそうです。事業化を進める上で、それぞれの段階ごとに適切なパートナーと組むことの重要性が良く分かります。

この蜘蛛の糸、将来は車に入れることを考えているそうです。やはり、量を増やすことを考えると車体に配合するというのは非常に魅力的な市場だということだと思います。魅力的な市場であればあるほど競争は激しく、コンペティターは増えることになります。競争の激しい市場に参入を狙うならば広くコンペティターを把握しておく必要性があると感じました。

また、どの市場を狙うか、という話の中で、価格と生産量のバブルチャートが出てきたのですが、素材分野では年間10万トン以上の生産量にするには20-30$/kg、100万トン以上になるには10$以下にする必要があるそうです。一方で、GM(遺伝子操作)菌による発酵生産は通常200-300$の世界で100$を切るのはすごく難しいのだそうです(スパイバーの社内では”100$の壁“と呼んでいるらしいですが)。こういう、分野を超えた全体の解析を行った上で自分たちの現在のポジションをよく把握できている、と感じました。

最後にもう一つ重要なことを言われていて、何でベンチャーの起業を行ったのか、何でこの仕事をするのか、ということに関し「地域のため」「日本のため」「人類のため」といった“社会に対して役に立つことが大切”、ということを度々言われていました。この点は「なぜ仕事をするのか」と同じで行動の大本となる哲学のことだと思います。それが“お金を稼ぐため”、とかでなく“世の中に役に立つため"と言うことが重要なのだと思います。自分の欲のためだけに仕事をしていると誰も協力してくれませんが、”利他”の精神で世のため、人のために行動していると協力してくれる人がおのずから現れるのだと思います。生活するためにお金を稼ぐことは重要ですが、それだけだと、仕事に対する意義が小さくなります。もっと大きい視点で仕事を捉えて、世のために役に立つことをやっていきたいものです。

*この本でもスパイバーが取り上げられています


posted by もりもり at 17:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネス考 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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